人生コラム

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背中で子育て

親子が手を繋いでいる写真

いい式だった。 息子の中学校の卒業式は、在校生による「タンホイザー行進曲」、卒業生による「大地讃碩」「ハレルヤ」の大合唱が圧巻だ。 いい学校だったと、この日に実感できるのは、親にとっても幸せなことである。 母らしいことなど何もしてやれなかった。授業参観、文化祭、体育祭も雨で順延になると、もう行けない。 娘のときは、卒業式にも出席してやれなかった。小学校入学式の日から鍵っ子だった。 こんな母親が、なんとかここまでこれたのは、子育ての道標があったから。娘の小学校一年生のときの担任の先生にいただいた言葉を信じてきた。 「教育は面と向かってする方法だけじゃないですよ。 お母さんは、楽しそうに働く後姿で教育していきませんか?大人になるっていいものだよ!って背中で教えるんです。それで子どもが曲がればそひこんこっよ。 自信を持って!」そして、渡された、金子みすずの詩「わたしと小鳥とすずと」。 「・・・みんなちがって、みんないい」最後の一行が心にしみ込む。それが、子どもに寂しい思いをさせてしまうことによって、 どんな悪影響があるのか相談したときの、先生の答えだった。

息子の卒業式、校長先生は、「人間万事塞翁が馬」の話をしてくださった。自分の馬が逃げてしまうが、その馬が良い馬を連れて帰り、その馬に乗った息子が落馬し、戦に行かなくてすむ。 つらいことが、つらいままで終わるとは限らないし、 うれしいことがうれしいままで続くとも限らないのだと。翌日の公立高校合格発表を意識してのことだろう。 子どもたちよ、喜び、哀しみ、替わりばんこの人生を楽しんで生きなさい。 母もまだまだ背中で輝き続けますから。

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