人生コラム

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夢見るおとな達

本が積まれている様子の写真

私は歌も歌ってる。 夫が、友人らとカントリーミュージックのバンドを組んでいて、年2回、同じ趣味を持つグループが集まりライブを開いている。 練習会場への送り迎えをしているうちに、「君も歌ってみれば?」と言われてその気になった。私以外のメンバーはほとんどが団塊世代の男性達。 プレスリーやビートルズを初めとする洋楽やローハイドなどの西部劇で育った彼らは、私などよりよっぽどシャレてて遊びがうまい。5年後、10年後の夢をウキウキ語る。 彼らには、カントリーネームなるものがある。地味だからジミー、体格・顔の大きさが日本人離れしているロドリゲス。憧れのシンガーの名前を拝借して、ハンクにクリスにランディ。 テンガロンハットを被り、涼しい顔してカタカナで呼び合う。シャレてなくて遊び下手の私には信じられない。断固拒否したのだが、私はカレンと名づけられた。「ハーイ!カレンよ。」とは、当然言えない。

クリスという名の夫は団塊予備軍。先輩たちの動向が気になるようす。休日に、私をやたらとドライブに誘うようになった。そして、決まって海辺や山奥の、廃屋に近い空き家を巡る。 「団塊世代がリタイヤしたら、きっと田舎に家を借りて家庭菜園とかしたいんだぞ。その前に・・・この家なんかいいねー。ここで野菜作りたいと思わんか?なあ、おまえ。」 私はにっこりほほ笑み、「いい考えね。」と返事をし、心の中でこうつぶやく。『あと15年、家のローン残ってます。』 「窓を開けてみろ。もう風は春だ。歌おう!ユーアーマイサーンシャイーン!」 ほんとだ。風も景色もあたたかい。今日のところはカレンになって、クリスの夢につきあおう。

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